2011年1月24日月曜日

ドラッグラグ問題に思う

日本では欧米で当たり前である治療薬が承認されていないので使えないというドラッグラグの問題が報道されています。関節リウマチの治療にも同様の問題があり、欧米で認可されて数年後の日本でも使えるようになる場合が多いのです。
一方肺がんの治療薬イレッサでなくなった患者さんの遺族が訴訟を起こしています。肺がんの薬ですから治療しなければ100%亡くなられる患者さんです。イレッサの副作用で亡くなられるのはお気の毒ですがイレッサを使わなくても亡くなられた患者さんです。その薬で助かる患者さんが一部でもいればイレッサは多くの人の命を救ったといえるのではないでしょうか。
吉島病院在籍当時、肺がんの多発転移で末期の患者さんの骨転移骨折を手術しましたが、イレッサが効いて劇的に治りました。この薬がマスコミの報道では副作用の多い危険な薬として取り上げられています。イレッサで亡くなった患者さんは800人近いと報じられていますが、イレッサを使わなくても亡くなられた患者さんです。ほかの方法では助からないのにイレッサで助かった患者さんは何人いたのか全く伝えないのはきちんとした報道とはいえないと思うのです。