2011年5月23日月曜日

氷山の一角


大阪府などで整骨院3カ所を経営する柔道整復師の男性(65)が約20年間にわたり、数億円の療養費を不正請求していることが、毎日新聞の取材で分かった。患者の通院日数を実際より水増ししたり、通院していない患者の名義を使ったりする手口で、市町村や健康保険組合などへの請求を繰り返していた。厚生労働省近畿厚生局は実態調査に乗り出す方針。
男性は当初から、療養費を請求する際、患者の通院日数を水増しして請求。従業員や家族の名前を悪用し、実際には通院していない患者の療養費も請求していた。男性は虚偽の負傷原因や来院日などを記した「施術録」を作成。それを基に従業員が申請書を作成し、請求していた。申請書には患者の署名や押印が必要だが、男性の指示で従業員が患者の氏名を記入したり、市販の印鑑を使って申請書を偽造したりしていた。
例えば、09年には3日しか通院していないのに39日分を請求したケースがあった。また交通事故の患者には、自賠責として保険会社に請求した施術費のうち、数万~十数万円を「還付金」としてキックバック。常連の患者に酒食の接待をすることもあったという。
柔道整復師を監督する旧社会保険庁(現在は厚労省に移管)は08年5月、整骨院を監査した。この時は男性が院長として雇用し保険請求の名義人になっていた別の柔道整復師を、5年間の保険業務停止処分にした。男性はいったん2整骨院を閉院したが、09年以降、大阪府内と和歌山市内で計3院を開設。別の柔道整復師を院長として雇い、不正請求を続けているという。

領収書を出さない接骨院や整体院などは軒並み怪しい。